一般的に「板金工事(ばんきんこうじ)」とは、金属の薄板を使用した工事のことをいいます。
車関係の板金と区別するために、建築関係の板金工事は「建築板金」と呼ばれることが多いです。
建築板金は、建物の屋根や外壁において、金属の薄板を加工・使用した工事のことをいいます。
よく質問に挙がる、板金工事と屋根工事の違いは、簡単にいうと以下の通りです。
- 板金工事:金属建材を使用する工事全般のこと
- 屋根工事:金属製だけでなく瓦屋根やスレート屋根など全般の屋根工事のこと
近年では、ガルバリウム銅板のような耐久性の高い金属製の建材の評価が上がり、板金工職人の仕事の幅は広がっています。
さて今回は、近々屋根のメンテナンスをしたくて「板金工事とはどんな工事だろう?」「どんな場合に必要な工事だろう?」とお考えの人のために、屋根工事専門業者『ゼファン』が役に立つ情報をお届けします。
板金工事が綺麗に行われると、屋根の雰囲気がどんなふうに変わるのか、ビフォー・アフター(事例)も用意しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
屋根における板金工事とは?
屋根における板金工事において、代表的なものを挙げると次のような2つの工事があります。
- 屋根葺き替え工事
- 屋根カバー工法(屋根重ね葺き工事)
【1】板金工事による、屋根葺き替え工事とは…
屋根の下地から屋根の素材まですべて新しく取り替える工事。
※雨漏りしている場合(下地が腐食している可能性がある)や低勾配の場合は葺き替えをオススメします!
【メリット】
- 材料によっては軽量化できる
- 既存屋根を解体することで、躯体・下地の確認が容易
- 下地の補強や断熱材の施工など、耐久性・性能向上のための工事が可能
【デメリット】
- 既存屋根を解体する費用と廃材処分費用がかかる
- 重ね葺き工事(カバー工法)に比べて工期が長い
倉庫や工場といった建物においては、一度はがして葺き替えをするという工法を採用することは少なく、次に解説する重ね葺き工事(カバー工法)を採用することが大半です。
【2】板金工事による、屋根重ね葺き工事(カバー工法)とは…
既存屋根のうえから新しい屋根材を葺く工事。
【メリット】
- 既存屋根を撤去しないため費用が抑えられる
- 工期が短い
【デメリット】
- 下地部分の劣化を改善することが出来ないため元の状態によっては施工不可となる
- 凹凸の大きい屋根には施工不可
屋根葺き替え工事と屋根カバー工法(屋根重ね葺き工事)についての解説は次の記事を参考にされてください。
参考記事:
「屋根葺き替え工事」と「屋根カバー工法」の違いを比較したい!事例と一緒に分かりやすく紹介
【豆知識】屋根屋さんなら、どこでも板金工事はできるのか?
現在主流の屋根材料は、大きく分けて金属屋根と瓦屋根の2種類がありますが、ぞれぞれの工事は全くの異業種と言えます。
それは、施工する際の手順や必要な技術も全く異なるためです。
業者の区分も、金属屋根は「板金工事業者」、瓦屋根「屋根工事業者」といった区分がなされています。
また近年、塗装会社が外壁塗装工事と金属屋根工事をセットで施工することが増えていますが、こちらも塗装する技術と、金属屋根を施工する技術は全く異なります。
さらに必要な設備も異なります。
板金加工を行う際には専用の設備と、金属屋根材を保管するための倉庫が必要となりますが、専門業者でないとそれらを用意することは難しいと考えられます。
屋根の板金工事は、どの業者でも施工をすることはできますが、長年雨漏りを発生させない確実な工事にするためには、やはり経験とノウハウ、専門の職人を抱える板金工事業者が優位といえるでしょう。
当社ゼファンは板金工事業者です。
自社による板金加工を得意としており、役物(棟・軒・ケラバ)などは自社で加工し施工することができます。
他にもある、金属屋根の板金工事
先述した屋根における板金工事ほかにも、以下のような工事があります。
- 棟板金の工事
- 谷板金の工事
- ケラバ捨て水切りの工事
- 雨押え水切り板金の工事
- 軒先水切りの工事
【1】棟板金の工事
棟板金とは、屋根の棟部(頂部)で使用されている板金のことです。
劣化している棟板金を交換したり、棟板金を留めているビスが抜けている・抜けそうな場合に、ビスを新しい物に交換したりします。
【2】谷板金の工事
V字形で2面の屋根面が交わる部位を、谷部(たにぶ)といいます。
屋根において雨が集まってくる場所であるため、もっとも雨漏りが多い部位です。
どんな屋根材でも雨を滞留させることなく、速やかに排水するために、V字形の谷板金を使用します。
この谷板金が劣化した場合に、新しい谷板金と交換したり、既存谷板金の上に新しい谷板金をカバーしたりします。
【3】ケラバ捨て水切りの工事
屋根の端部を、ケラバ部といいます。
強風雨などで、平部とケラバ部の間に雨水が浸入することがあります。
そのときに、雨水がルーフィングや屋根下地へ流れ込まないように、ケラバ捨て水切りを設置します。
ケラバ捨て水切りに入った雨水はそのまま、滞留することなく、軒先へ排水されます。
【4】雨押え水切り板金の工事
屋根と壁が接合している部分に設置する、つなぎのような板金を雨押え水切り板金(あまおさえみずきりばんきん)自社加工といいます。
屋根と壁の接合部からの雨漏りが多いため、板金を入れて、壁内を伝わる雨水が屋根の上に出てくるように配置します。
【5】軒先水切りの工事
屋根の先端部分を、軒先(のきさき)といいます。
強風雨などで、瓦下のルーフィング上を流れる雨水を、雨樋へ伝えるために設置する物が水切り板金です。
どんな場合に屋根の板金工事が必要?
- 板金に穴が開いた時
- 板金にサビが発生した時
板金のサビや腐食が進行すると、板金に穴が開くことがあります。
板金に穴が開くと、雨漏りのリスクが高くなるので、早めの修理が必要です。
板金に穴が開いた場合、板金の交換を行うことが基本です。
応急処置としては、コーキング材の充填や防水テープでの穴閉じなどがありますが、あまり長くはもちません。
板金にサビが発生した場合にも、板金の交換を行います。
なお先述したように、板金を固定しているビスが抜けている・抜けそうになっている場合は、ビスの打ち替えが必要になります。
板金工事をふくむ屋根工事のビフォー・アフター
以下は、当社『ゼファン』が施工した、板金工事をふくむ屋根工事のビフォー・アフターです。
【1】大阪府吹田市の板金工事をふくむ屋根葺き替え工事
ケイミュー社『コロニアルグラッサ』を使い、屋根の葺き替えをした事例です。
板金工事については、
- 軒先水切り L型:76m
- ケラバ水切り+L型板金:3m
- 棟板金 下地=樹脂製材木
- 雨押え板金 別注加工(自社): 25m
などを行いました。
事例解説:
大阪府 吹田市 屋根葺き替え工事
【2】大阪府交野市の板金工事をふくむ屋根葺き替え工事
『ルーガ雅』という屋根材を用いて、屋根の葺き替え工事を行いました。
家の作りが和風で、既存のイメージをそのまま残すために、『ルーガ雅』を提案しました。
屋根が多面で少し複雑な箇所もありましたが、熟練した職人の手で綺麗に仕上げることができました。
板金工事については、
- 軒先水切り+タフモック:44m
- 同質ケラバ+捨て板金:17m
- 谷板金施工:3.5m
- 壁際雨押え板金:17m
などを行いました。
事例解説:
大阪府 交野市 屋根葺き替え工事
【3】大阪府寝屋川市の板金工事をふくむ屋根葺き替え工事
屋根は激しく傷んでおり、既存の瓦棒と谷板金がフラットで水が溜まりやすく、雨漏りのリスクがある形状でした。
そこで瓦棒の屋根の高さを木下地で上げ、谷の部分を箱谷にしました。そうすることにより雨が溜まることなく、水を排水できるようにしました。
笠木、箱谷の立上がり部の板金を新しく施工し、全体的に綺麗に仕上げました。
事例解説:
大阪府 寝屋川市 屋根葺き替え工事
板金工事ができる屋根修理業者を探す時のポイント
建設業を営む一定規模の事業者(請負代金500万円以上など)は、29種類ある建設業の業種ごとに許可を受ける必要があります。
許可を与えるのは都道府県もしくは国土交通大臣です。
板金工事も、29種類の建築専門分野の1つです。
その他には、屋根工事や電気工事、ガラス工事、防水工事、鉄筋工事、塗装工事などがあります。
板金工事をきちんと施工してくれる業者を見つけるなら、まず「板金工事の許可を取得しているのか?」が大前提になります。
業者のホームページを見たり、直接問い合わせたりして、確かめましょう。
板金工事ができる屋根修理業者の探し方
- ネットで調べる(ホームページなど)
- 家を建ててもらった工務店やハウスメーカーに相談する
- 近所の看板を確認する
- 投函されたチラシを確認する
- 屋根業者比較サイト(ポータルサイト)に登録する
- 知り合いの紹介を受ける
- 自治体で紹介を受ける
板金工事ができる屋根修理業者を失敗せずに選ぶには?
担当者と話している時の相性や、担当者の説明の分かりやすさは、業者選びの1つの手がかりになります。
「なんとなく感じが良い」は根拠のない基準だと思われるかもしれませんが、意外にも大切なことです。
工事中はもちろん、工事後も長く付き合う可能性があるからこそ、ストレスなく話せて説明もきちんと理解できる業者を選ぶべきです。
また、業者によっては自社施工保証が無かったり、リフォーム瑕疵保険の対象事業者ではない場合があります。
そのような業者で工事を行うと、後々発覚した施工不良などについて、責任を問うことができません。
リスクが高いので必ず口約束ではなく、保証書を発行してもらえる業者に工事をお願いしましょう。
さらに、過去の施工実績をホームページなどで公開していて、
- どのような工事を行っているのか
- どれくらいの実績があるのか
- 工事後にどのような仕上がりになるのか
といったことが分かる業者は安心度が高いです。
施工実績をよく見ることで、「その業者が何の工事を得意にしているのか?(板金工事はできるのか?)」を、推測することもできます。
業者を選ぶときは相見積もりを取ることがオススメ
業者を選ぶときは、相見積もりを取ることをオススメします。
相見積もりとは1社だけでなく、複数の業者からまとめて見積もりを取ることです。
相見積もりを依頼する際は、以下の点に注目してみましょう。
- 見積もりの品質が優れているか
- 施工事例や口コミが充実しているか
- 保証制度が備わっているか
<詳しくはコチラ>
→ 失敗しない屋根工事の相見積もり!見積もり業者を選ぶ基準や手順について解説
まとめ
以上、「板金工事とは何なのか?」という説明から、板金工事ふくむ屋根工事のビフォー・アフターの紹介などを、行いました。
当社『ゼファン』は、板金職人を自社で抱えている屋根・外壁工事店です。よって板金工事も綺麗に行うことができます。