近年、台風の脅威を大きく感じている人が増えてきたのではないでしょうか。
「台風が強くなっているような?」「台風の時期が長くなっているような?」、そんな気がしますよね。
そんな台風に対する大きな不安の1つが、お家の屋根に与える被害です。
屋根材が吹き飛んだり、雨漏りが発生したりと、台風はお家の屋根に様々な被害を及ぼします。
この記事では、上記のような被害を抑えるために、自分でできる対策はないかと考えている人に向け、
- 台風の前
- 台風の直前
- 台風の直後
にできることや注意すべきことについて、屋根リフォームのプロである『ゼファン』が、情報をまとめました。
記事の後半では、台風に強いオススメの屋根材を紹介しています。
屋根リフォーム検討中の人は、ぜひ参考にしてみてください。
台風が来る前の対策!屋根・外壁の5つのチェックポイント
日本では、毎年夏の終わりから秋にかけて、続々と台風がやってきます。
また台風以外でも、2月後半ごろに強い風が吹く「春一番」など、注意が必要な季節風が多いです。
上記のように、時期をある程度特定できる台風・強風に対しては、様々な事前対策が可能です。
以下では、台風・強風の季節の前に確認しておきたい、屋根・外壁のチェックポイントを5つご紹介します。
- 棟瓦(むねがわら)の漆喰をチェック
- 棟板金をチェック
- スレートや瓦のズレがないかをチェック
- 外壁のクラックや塗装の劣化をチェック
- 雨樋をチェック
ただし、1つ注意点があります。
落下の危険性があるため、屋根に登って確認することは、絶対にやめてください。
地上から目視できる範囲を、無理なく確認しましょう。
【1】棟瓦(むねがわら)の漆喰をチェック
瓦屋根の場合、屋根の頂上部分に棟瓦が積まれています。
この部分には、棟の隙間を塞ぐことや、屋根材を固定する目的で漆喰が施工されています。
この漆喰の劣化が進行してしまうと、ひび割れや脱落が起こり、その隙間から屋根内に雨水が浸入してしまいます。
また、瓦の固定も弱まるので、強風によって屋根材が飛ばされてしまうおそれも出てきます。
台風がくる前に、漆喰にひび割れや脱落がないか確認し、ある場合は補修を依頼しましょう。
【2】棟板金をチェック
スレート屋根や金属屋根には、棟板金が施工されています。
棟板金は、釘やコーキング材で固定されることがほとんどで、経年劣化が進むと釘が緩み、棟板金と屋根材の間に隙間ができてしまいます。
棟板金に隙間があると、そこから水の浸入を招き、場合によっては、隙間から風が入り板金が飛ばされてしまうことがあります。
強い風に備えて、棟板金と屋根材に隙間ができていないか、チェックしましょう。
【3】スレートや瓦のズレがないかをチェック
経年劣化によって、屋根材の一部がズレてしまうことがあります。
屋根材にズレが発生すると、そこから水の浸入を招き、雨漏りの原因となってしまいます。
また、屋根材のズレは、屋根材を固定している力が弱まっている証拠でもあるので、強風によって屋根材が飛ばされてしまうおそれもあります。
屋根材にズレが見られる場合は、速やかに補修を依頼しましょう。
【4】外壁のクラックや塗装の劣化をチェック
「雨漏りは屋根が原因」と考える人は多いですが、実際は外壁起因の雨漏りも多いのです。
外壁は、経年劣化でクラック(ひび割れ)が入ってしまうことがあり、そこが雨水の浸入口となります。
建物の外周を回り、外壁のクラックの有無や塗装の状態をチェックしましょう。
またこの時には、窓枠やドア枠のコーキング材の劣化状態も、確認しておくことをオススメします。
コーキング材が硬く縮んでいたり、切れていたりしたら経年劣化が進んでいる証拠で、雨漏りリスクが高い状況です。
なるべく早く、補修を依頼しましょう。
【5】雨樋をチェック
屋根を登らずに見ることが可能なら、雨樋もチェックしましょう。
雨樋は、屋根に落ちた雨水を、建物外に排出するためのものです。
雨樋が経年劣化で割れたり、雨樋に歪みが生じると、雨水が適切に排出できなくなります。
雨水が適切に排出できないと、屋根に雨水が逆流・滞留し、雨漏りリスクがとても高くなります。
飛来したゴミなどが雨樋に詰まっていることもあるので、不安であれば1度業者に見てもらい、掃除・補修を依頼することをオススメします。
台風接近!安全のために行っておきたい7つの対策
「明日、台風が来る!」など、台風が接近している場合に、安全のために行っておきたい7つの対策があります。
- 外の植木鉢・プランターなどを家の中に入れる
- 犬小屋を固定する
- 物置を固定・施錠する
- 雨戸に鍵をかけて閉める
- 窓を補強する
- カーテンを閉める
- 非常用品の準備
どれも簡単な対策なので、ぜひ忘れずに行ってください。
また、先にも述べましたが、直前に屋根の状態を確認したくなっても、危ないので屋根には登らないでください。
台風が過ぎた「後」に注意するべきこと
無事に台風をやり過ごした、その「後」。
ついつい油断をしてしまいがちですが、安心・安全のためにまだ気を付けなくてはいけないことがあります。
- 台風一過の不安につけこむ悪徳業者に注意する
- 台風一過すぐに近所の様子を見に行かない
【1】台風一過の不安につけこむ悪徳業者に注意する
台風など、自然災害の後には、多くの悪徳業者が現れます。
例えば、「契約してもいないのに工事を進める」、または「見積もりとは全く違う高額を請求する」といったトラブルが続出します。
悪徳業者は、「台風の被害を今すぐ何とかしたい」という欲求につけこんできますが、注意深く話を聞き対応していれば、悪徳業者に引っかかることはありません。
とにかく“焦らずに”、対応することが肝心です。
事前にできる対策としては、台風で被害があった時に相談する信頼できそうな業者を、あらかじめ探しておくという方法があります。
<関連コラム>
→ 初めて屋根工事を依頼する方必見!業者の選び方や依頼するタイミング
【2】台風一過すぐに近所の様子を見に行かない
台風の直後に、水田や用水路の様子を見に行くことは、絶対にやめてください。
増水中は、用水路と道の境目が分からなくなっており、非常に危険です。
また冠水した道路では、水圧によってマンホールが外れていても見えません。
知らずに通ろうとして落下し、溺れてしまう危険性があります。
そしてもちろん、平時でもいけませんが、屋根の上に上がることは絶対にいけません。
屋根が濡れた状態では足元が滑り、台風の後もしばらく残る突風の影響も、受けやすくなります。
お住まいや近隣の状況が気になるのは分かりますが、台風が過ぎてもしばらく(安全が確保されるまで)は、お家の中などの安全な場所で過ごしてください。
台風で屋根が飛ばされているのを発見したら?
台風で屋根が飛ばされているのを発見したら、屋根の専門業者に連絡をしましょう。
何度も言っていますが、危ないので、自分で応急処置しようとは思わないでください。
可能であれば、被害の状況を写真に撮っておく(業者に撮ってもらう)と、保険金を申請する際に、役立ちます。
加入している保険会社がある場合は、その保険会社に連絡をします。
火災保険が利用できるかを確認し、申請書類をもらいます。
申請書類を提出して無事に通れば、保険金によって一部自己負担、もしくは自己負担なしで屋根の修繕工事ができる可能性があります。
「台風に強い屋根材」へのリフォームのススメ
「台風に備える」という観点で、大きな進展となるのが、「台風に強い屋根材」へのリフォームです。
現代の屋根材は、台風や地震などの災害に強いものが増えてきています。
「そろそろ屋根のリフォーム時期かな?」と考えている人は、ぜひ台風に強い屋根材へのリフォームを検討してみてください。
以下では、台風に強い屋根材として評価が高い『スーパーガルテクト』、『ディプロマット』、『ルーガ』について取り上げます。
【1】スーパーガルテクト
スーパーガルテクトとは、『アイジー工業株式会社』が販売している、国産の金属屋根材です。
スーパーガルテクトは、サビに強く、沿岸地域などでも優れた耐食性を発揮する超高耐久ガルバを採用しています。
また、スーパーガルテクトは大幅な軽量化も実現しており、スレート屋根の「約1/4」の重さ、和瓦の「約1/10」の重さしかありません。
よって、葺き替え工事はもちろん、軽い屋根材を選ぶ必要がある屋根カバー工事にも、数多く採用されています。
~スーパーガルテクトが台風に強い理由~
スーパーガルテクトは、「嵌合(かんごう)式」の金属屋根材です。
上下(メスとオス)で屋根材同士を引っかけるようにして、屋根材を固定します。
この嵌合の深さが深いほど、風で飛ばされにくくなります。
スーパーガルテクトは、嵌合の深さが十分深い屋根材です。
また、金属屋根材には、所々折り曲げられている箇所があります。
折り曲げられている理由は、屋根の内部に雨水が入り込むことを防ぐためです。
スーパーガルテクトは、適切な箇所すべてに折り曲げ加工が施されており、屋根の内部に雨水が入り込みにくい構造になっています。
<関連コラム>
→ スーパーガルテクトとは?10のメリット・デメリット・費用・施工事例などを紹介
【2】ディプロマット
「ディプロマット(ディプロマットスター)」は、アメリカにある高耐久屋根材のパイオニア、『株式会社ディートレーディング』が製造・販売している、輸入屋根材のことをいいます。
ディプロマットは、ガルバリウム鋼板と同じ組成の「ジンカリウム鋼板」が基材となっています。
ディプロマットはとても軽量であることや、セラミックコートされた自然石粒による熱伝導率の低さ(お部屋が暑くなりにくい)などが特長的です。
~ディプロマットが台風に強い理由~
「軽量だと風に弱いのでは?」と気になる人も多いと思います。
しかしディプロマットは、強い台風でも飛んでいかないように、「インターロッキング工法」という方法で、施工されるので安心です。
インターロッキング工法とは、屋根材を重ねて嵌合(かんごう)し、建物本体に強く固定する工法のことをいいます。
具体的には、風速60m/sの暴風にも耐えることができます。
<関連コラム>
→ ディプロマットの屋根の特徴・メリット・デメリット|施工事例もご紹介
【3】ルーガ
「ルーガ」は、ケイミュー株式会社が販売する「樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦」です。
一般的な陶器平板瓦と同等の厚みを持ちながら、重量はその約1/2という軽量性があり、耐震性を上げることができるのが特長です。
見た目は和瓦と似ており、和瓦の重厚感を失いたくないという方に『ルーガ (ROOGA)』はオススメです。
~ルーガが台風に強い理由~
そしてルーガは台風にも強い特長があります。
強風でも飛散しにくい釘止め施工が実施されるため、風速60m/sでも飛散しないことが実証されています。
またルーガは割れにくい素材で造られており、飛来物の懸念がある台風時にも強みを発揮します。
強い衝撃を受けても、素材自体がたわみその衝撃を吸収するため割りにくいのです。
万一割れても破片の飛び散りを防ぎます。(※耐衝撃性試験済)
<関連コラム>
→ 瓦の葺き替え費用・『ルーガ』『スーパーガルテクト』への葺き替え|できるだけ安くする方法
まとめ
以上、台風に備えた屋根のチェックポイントや、台風接近時にやるべきこと、台風が過ぎた後の注意点などをお話ししました。
事前の対策をしっかり行っておくことで、台風による屋根材の吹き飛びや、雨漏りのリスクを抑えることができます。
また、もしも被害に遭ってしまった場合でも、「その時にどうすればいいのか?」を事前に知っているのと知っていないのとでは、不安の度合いが大きく変わります。
- 無理なくできる範囲で台風の対策をすること
- 台風被害に遭った時の相談先(屋根専門業者など)をあらかじめ見つけておくこと
台風に限らず、あらゆる自然災害に備えて、上記を心がけておきましょう。