「瓦屋根を補修したいが方法がわからない…」
「修理業者に説明を受けたが、瓦屋根の各部分の呼び名がわからない」
とお悩みの方へ。瓦屋根は日本の伝統的な屋根で、実はたくさんのパーツを組み合わせて作られています。聞きなれない名前が多く、いざ説明を受けたり見積書を見たりすると理解できないことも多いものです。
そこでこの記事では、瓦屋根の各パーツの呼び名について解説します。また屋根における部位の名称もご紹介しますので、リフォームや修理をご検討の方はぜひお読みください。
日本瓦屋根の各パーツでの名称(呼び名)
引用:http://www.nilim.go.jp/lab/hcg/yanegawara/kawara_kakubu.htm
日本の瓦屋根は、使用する場所によって様々な種類の瓦を使い分けています。日本の瓦屋根は、主に以下の10種類のパーツで成り立っています。
- 桟瓦
- 軒瓦
- 雪止瓦
- 角瓦
- 隅瓦
- 鬼瓦
- 巴瓦
- のし瓦
- 冠瓦
- 袖瓦
場所ごとの瓦の名称と、それぞれの役割について説明します。
桟瓦(さんがわら)
波型が特徴的な桟瓦は、瓦屋根の中で最も多く使われる瓦です。野地板の上に設置した「桟木」に引っ掛けて屋根を施工しており、割れなど不具合がある瓦を1枚単位で交換できるようになっています。
ちなみに波型の桟瓦以外の瓦は特殊な形と役割を持っているため、専門的に「役物」(やくもの)と呼ばれます。次以降で解説する瓦はすべて役物の瓦です。
軒瓦(のきがわら)
軒先にある瓦を軒瓦といって、雨樋に水を落とす役割があります。軒瓦の中央部分は凹んでおり、そこを水や雪が通ることでスムーズに排水しているのです。外から一番目に付く部分なので、家紋や絵柄を入れるなど凝ったデザインにするケースも少なくありません。
雪止瓦(ゆきどめがわら)
引用:https://machiyane-biwakoohashi.com/column/191213koram_yukidomekanagu.html
軒先から3~4段目に設置されることが多い瓦で、ポコっと盛り上がった形が特徴です。文字通り雪が滑り落ちるのを止める役割があり、積雪が多い地域では雪止瓦を2段設置する場合もあります。
角瓦 (かどがわら)
引用:http://kawarak.sakura.ne.jp/zukan.html
軒と破風(はふ)が交わる部分に設置する、軒瓦と袖瓦を組み合わせたものが角瓦です。樋が当たらないよう先端に切り込みがあり、袖瓦の一番下だけに使います。一文字角瓦や中付一文字角瓦など、様々な種類があります。
隅瓦(すみがわら)
隅という名前の通り、葺き屋根の隅の軒先にだけ使う瓦です。いくつかの部分に分けた「切隅」(きりすみ)や、一体になった「廻隅」(まわりすみ)といった種類があります。
鬼瓦(おにがわら)
屋根の端などに設置される瓦で、数ある瓦の種類の中で最も有名なものです。厄除けや装飾のほか、屋根材に雨水が侵入するのを防ぐ役割もあります。名前通り鬼の形をした瓦もありますが、雲や七福神などデザインは様々です。
巴瓦(ともえがわら)
引用:https://machiyane-mito.com/blog/201129_hitachi-taishin-mune_hm.html
軒先に使う瓦が巴瓦です。丸い形の瓦で先端に巴紋を付けたことで巴瓦と呼ばれています。防火のおまじないという目的もあり、使う部分によって名称が変わります。
のし瓦
屋根の頂上にある棟瓦の下に重ねる瓦のことをのし瓦といいます。のし瓦は水切りや雨避けの役割があり、複数ののし瓦をわざとずらして重ねることで、屋根内部に水が浸入するのを防ぎます。ちなみにのし瓦は割って使う屋根材であり、「割れる」という特性から瓦割に使われるのです。(他の瓦で瓦割をしても割れません。)
冠瓦(かんむりがわら)
棟の一番高い部分に設置する円型の瓦です。前述したのし瓦の上に設置する瓦で、別名雁振瓦(がんぶりがわら)ともいいます。雨仕舞の役割があり、平たいものは伏間瓦(ふすまがわら)、円型や山形の背が高いものを冠瓦と呼んで区別するのが一般的です。
袖瓦(そでがわら)
切妻屋根などで妻側の三角形になった破風部分に使う瓦のことです。けらば瓦とも呼ばれて壁側に雨水除けの垂れがあり、屋根の内側に水が浸入するのを防ぐ役割があります。袖の大きさによって大袖や小袖といった種類に分かれ、袖が左にあれば「左袖」、右にあれば「右袖」となります。
“あわせて知っておきたい”屋根の各部位の名称
瓦屋根には様々な種類がありますが、屋根自体にも部分ごとに名称があります。屋根修理業者に見積もりを請求すると専門的な用語が多いため、リフォーム前に屋根の各部位の名称を知っておくと理解しやすくなるでしょう。
屋根の部分ごとの名称としては、以下のものがあります。
- 平部
- 軒先部
- 平棟部
- けらば部
- 隅棟部
- 壁取合い部・桁方向
- 壁取合い部・流れ方向
- 谷部
順番に解説します。
平部(ひらぶ)
屋根の平面部分のことで、最も広い範囲を平部といいます。一般的に屋根と言うと、この平部のことを指します。
軒先部(のきさきぶ)
建物よりも突き出ている軒先部分の屋根のことを、軒先部といいます。建物の外部に張り出ていることで、雪や雨、日差しなどから建物を守る役割があります。
平棟部(ひらむねぶ)
屋根の頂上にある水平な部分のことです。主棟や大棟とも呼ばれています。
ケラバ部
切妻屋根や片流れ屋根の中で、雨樋がついていない部分のことです。(雨樋が付いている部分は「軒先」といいます)ケラバ部分は破風板や水切り金具などで覆い、雨が窓に吹き込まないようにしたり日当たりを加減したりする役割があります。
隅棟部(すみむねぶ)
隅ともいい、屋根の四隅にできる山形のつなぎ部分のことです。主棟から軒先に向けて下りている部分で、各方面の屋根をつなぐ役割があります。
壁取合い部・桁方向(けたほうこう)
壁取り合い部とは屋根と外壁が接する部分のことです。桁は屋根業界で棟と平行になるように柱の上に渡す部材で、建物の上からの荷重を支える役割があります。
壁取合い部・流れ方向
流れ方向とは、屋根と外壁が接して雨水が合流する部分です。雨水が溜まり水量が増えるので、きちんとメンテナンスしなければ雨漏りしやすくなります。
谷部
屋根面とつなぎ部分で谷になった部分です。二つの斜面が重なることで排水を促し、屋根に雨水が溜まらないようにする役割があります。古い建物では谷部に銅板がよく使われており、劣化して穴が開くことで雨漏りに繋がってしまいます。
ゼファンでの屋根瓦の工事事例
実際にゼファンにご依頼いただいた、屋根瓦の工事事例を5つご紹介します。金額や屋根の種類と合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
奈良県生駒市 屋根補修工事(漆喰・谷入れ替え・ラバー工法)
- 工事概要:漆喰・谷入れ替え工事 ラバー工法
- 施工費用:約130万
- 施工面積:132㎡
経年劣化により瓦屋根の工事をご検討されていました。ゼファンは屋根補修&雨樋工事と全面葺き替え(ルーガ雅)&雨樋工事の2つでご提案させていただき、屋根補修工事&雨樋掛け替え工事にてご依頼いただきました。
コーキング材で瓦同士を固定するラバー工法は瓦同士の結束力が高まるため、瓦のズレを防止できます。そのほか漆喰と谷入れ替えによって瓦屋根のリフォームをお任せいただきました。
漆喰は10年に1度程度のペースで塗り替えが必要です。雨水の侵入を防ぐ防波堤のような役割があるので、劣化したりはがれたりすると雨漏りの原因になりかねません。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。
兵庫県尼崎市 屋根補修工事(棟積み替え7寸丸棟施工)
- 工事概要:屋根補修工事
- 施工費用:約33万円
- 施工面積:63㎡
- 屋根の形:切妻
雨漏りがあるとお問合せいただき調査したところ。棟部分から雨漏りが発生していました。棟部分にはコーキングがたくさん打設されており、雨水が抜けない状態です。
そこで棟部分の積み替えと漆喰施工、瓦のずれ戻しとシリコン全面打設をご提案させていただきました。
棟部分に新しく強化金具と人工木材で下準備を行い、棟の高さぶん南蛮漆喰を塗って丸棟(7寸)を木下地にビスでしっかり固定します。割れている瓦は差し替え、樋も綺麗に清掃しました。全面シリコン打設により、瓦のずれも防ぎます。
瓦屋根を補修させていただいた結果、雨漏りが発生しない綺麗な瓦屋根へと変身しました。
大阪府門真市 和瓦修繕工事(鬼復旧 地瓦差し替え 棟積み直し)+雨樋工事
- 工事概要:和瓦補修工事 雨樋工事
- 施工費用:174万円
- 屋根の形:入母屋 下屋あり
災害により瓦屋根の復旧と修繕・雨樋の交換工事のご依頼をいただいた事例です。切妻屋根と寄棟屋根を合わせた伝統的な入母屋屋根で、10日の工期で綺麗に復旧させることができました。
リフォームした部分は鬼瓦の復旧、地瓦の差し替え、棟積み直しに加えて雨樋工事です。綺麗な瓦屋根になり、お客様にも満足していただけました。
大阪府守口市 和瓦一部葺き替え工事(雨漏り修理)
- 工事概要:瓦補修工事 葺き替え工事
- 施工費用:50万
- 施工面積:10㎡
- 屋根の形:入母屋
雨漏りが発生しているとお問合せをいただき、ゼファンで屋根補修をご依頼いただいた事例です。貸物件の玄関上で雨漏りがしているとのことで、現地調査の結果谷板金に穴が開いていました。
職人が調査して一部のみ瓦の葺き替え工事をご提案し、他は瓦の補修工事で対応させていただきました。工期は4日です。重量のある和瓦は全面葺き替えが一般的なリフォーム方法で、和瓦を施工できる職人さんは多くありません。
しかし屋根修理のプロ集団ゼファンなら、和瓦を含めすべての商材に対応しています。
兵庫県尼崎市屋根ふき替え工事(日本瓦からコロニアル遮熱グラッサ)
- 工事概要:屋根葺き替え工事
- 屋根の形:半寄棟
伝統的な日本瓦を全面葺き替え工事した事例です。新しい屋根材はケイミュー社のコロニアル遮熱グラッサを提案させていただきました。施工前の瓦や色落ちなど劣化が進んでおり、施工後は新築の屋根のように美しく現代的な仕上がりです。
仮設足場を施工後に雨が続き作業ができませんでしたが、既存屋根の解体後に下地を施工した翌日には屋根材の施行から雨樋の掛け替えまで1日で完了できました。
まとめ
瓦屋根の各部の名称と事例についてご紹介しました。瓦屋根は様々な種類から成り立っており、いざ修理を依頼した時業者の言葉が理解できないお客様も多いものです。
また見積書をもらっても各部の名称を知っておかないと、自分たちに必要な項目なのか理解できず業者の言いなりになりかねません。ご紹介したような各部の名称や特徴を知っておけば、業者ともやり取りしやすくなるでしょう。
ゼファンは、自社職人及び専属外注の職人集団で屋根工事を行っている屋根のプロ集団です。調査の段階から自社の職人が行いますので、瓦屋根の各部分や修繕方法についてもわかりやすく説明いたします。関西一円でお困りごとがありましたら、ぜひゼファンへお問合せください。