「屋根を軽くすれば、耐震になるのかな?」という疑問が、よく聞かれます。
結論から述べると、「屋根の軽量化は家の耐震性を向上させます。ただし、耐震性に問題がある家の場合は、屋根の軽量化だけですべての問題が解決するわけではない」です。
実際、耐震工事には屋根の軽量化を含めて、様々な種類があります。
今回の記事では、多くの人が気になっている「耐震」と「屋根」の関係性について、屋根の専門業者である当社『ゼファン』が分かりやすく解説していきます。
屋根を軽量化するメリットを知りたい方や、実際に軽量化した事例を見てみたい方は、この記事をぜひ参考にしてみてください。
耐震性は「屋根の軽量化」によって向上する!
屋根の耐震性を高めるためには、屋根の軽量化(詳しくは後述)が有効です。
ただ、家の耐震性は、建物の形状、骨組み・耐力壁などの構造の強さ、基礎の強度と連結力、地盤の強さなど様々な要素も関係します。
屋根の軽さは、これらの要素に加わる1つです。
「屋根を軽量化すれば、地震に強い家になるので安心です」と説明する業者がいて、これは合っているのですが説明不足で、あくまでもお家全体を調査して、建物の耐震性が向上するように、必要な工事の検討をすることが重要です。
耐震工事の種類には、屋根の軽量化の他に、
- 耐力壁の増設
- 基礎の改修
- 接合金物の設置
などがあります。
屋根を軽量化する3つのメリット
- 耐震性が上がる
- 屋根材の落下による被害を防げる
- 工期が短い
屋根を軽量化することには、耐震性が上がることを含めて、3つのメリットがあります。
【1】耐震性が上がる
屋根を軽量化する大きなメリットは、耐震性が上がる点です。
基本的には建物の総重量が重いほど、建物の構造に負荷がかかるため、総重量が軽い建物に比べ耐震性が低くなります。
そのため、重たい屋根を軽くすることができれば、耐震性の向上が期待できます。
また耐震性を高めるためには、建物の重心を下げることも有効です。
屋根は建物の中でも高い部分にありますが、これをなるべく軽いものに変更することで、建物全体の重心を低くすることができます。
屋根の軽量化は、建物の総重量を減らすうえに、建物全体の重心も低くすることができます。
なお、屋根の軽量化を含めて、耐震基準に適合した耐震補強工事を行っていれば、建物の即時倒壊を予防できる可能性が高く、安全に避難できる時間を確保することに繋がります。
【2】屋根材の落下による被害を防げる
屋根材が軽くても、落下の被害を100%防ぐことは難しいですが、軽い屋根にしているほうが落下時のリスクは低くなります。
地震・台風などで重い屋根材が落下した場合、下に人がいたら、当たって大怪我をしてしまう(させてしまう)リスクがあります。
万が一の被害を防ぐためにも、軽い屋根を選択しておくメリットは大きいです。
重い屋根の代表といえば「瓦」ですが、瓦は落ちた時に割れて飛散するリスクが高く、大地震の際に足場を荒らしてしまうケースが考えられます(靴を履けない場合に、裸足で逃げ出すことが難しくなる)。
「地震が起きた時に逃げ道を塞がない」という意味でも、屋根の軽量化は有効です。
【3】工期が短い
重たい屋根材は運びにくく動かしにくいため、工期が長くかかってしまいがちです。
いっぽう軽い屋根材は、スムーズに運んで作業することができ、工期を短くできます。
工期を短くできるということは、コストを抑えられるということなので、大きなメリットです。
浮いたお金を、他の耐震工事や地震対策に回すこともできるでしょう。
屋根リフォームを行うなら、軽量化による耐震性向上が見込める「葺き替え工事」がオススメ
屋根のリフォームには「塗装」「屋根カバー工事」「屋根葺き替え工事」があり、屋根を軽量化するのであれば「屋根葺き替え工事」を選びます。
「屋根カバー工事」が地震に弱いというわけではありませんが、既存の屋根材を撤去せずに新しい軽量な屋根材を被せる工事ではあるので、軽量化を突き詰めたい人の選択肢からは外れます。
たとえば瓦屋根⇒金属屋根に葺き替える場合では、屋根の重量を半分以下に抑えることができます。
また屋根葺き替え工事では、屋根材だけでなく、下地・ルーフィングシートまでメンテナンスできるため、屋根材の劣化が著しく進んでいるケースや、すでに雨漏りを起こしているケースなどで、特に有効です。
葺き替え工事をして屋根が軽量化できた事例
以下では、当社『ゼファン』が実際に葺き替え工事をして、屋根が軽量化できた(=家の耐震性がアップした)事例を、いくつか紹介します。
屋根の軽量化にオススメの屋根材についても、説明を加えました。
【1】瓦からルーガ鉄平への葺き替えで屋根を軽量化 兵庫県尼崎市
- 工事概要:屋根葺き替え工事(ルーガ鉄平)・破風板金工事
- 施工費用:総額88万円(税込)
- 施工面積:32㎡(屋根)
- 屋根の形:切妻
- 工期 :5日間
兵庫県尼崎市で、屋根の葺き替え工事などを行いました。
築50年以上の住宅で、「雨漏りしている」とお問い合わせをいただいたことが、依頼のきっかけでした。
大屋根だけの施工になるため、(今回は葺き替えない)下屋根の瓦と違和感のない屋根材を選ぶ必要があり、「防災瓦」とも呼ばれる『ルーガ鉄平』を提案しました。
ルーガ鉄平は、「ルーガ」という屋根材の種類の1つです。
ルーガとは、外装建材の大手メーカー・ケイミューが販売する新素材の屋根材で、「陶器瓦の代わりになる高品質な屋根材」として、人気が高まりつつあります。
ルーガの成分名称は、「樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦」といい、近年普及が進むスレートと同じ素材で作られています。
- 瓦のような見た目
- スレートのような軽量性
この2つを兼ね備えているのが、ルーガならではの強みです。
ルーガには「鉄平」のほか、「雅」というデザインがあり、
- 和風住宅には『ルーガ雅』
- 洋風住宅には『ルーガ鉄平』
というように、使い分けを行います。
<詳しくはコチラ>
⇒ 兵庫県 尼崎市 屋根の葺き替え(ルーガ鉄平)・破風板金工事
【2】瓦からルーガ雅への葺き替えで屋根を軽量化 大阪市平野区
- 工事概要:屋根葺き替え工事(ルーガ雅)・外壁塗装工事・雨樋交換工事
- 施工費用:総額420万円(税込)
- 施工面積:110㎡(屋根)
- 屋根の形:寄棟
- 工期 :1週間(屋根)、6日(外壁)
大阪市平野区で、屋根の葺き替え工事などを行いました。
「瓦が経年劣化しているので、屋根のリフォームを考えている」とお問い合わせをいただきました。
お客様の希望は、「屋根を軽くして災害に強い屋根にすること」でしたので、防災瓦である『ルーガ雅』を提案しました。
先述のルーガ鉄平とも共通しますが、ルーガ雅には以下のメリットがあります。
- 割れにくく、飛ばされにくい(台風に強い)
- 軽い(地震に強い)
- デザイン性が高い(昔ながらの建築にも合う)
- 色あせにくい(再塗装までの間隔が長い)
- 断熱効果がある(お家の中で過ごしやすくなる)
今回は屋根の葺き替え工事だけではなく、外壁塗装工事・雨樋交換工事も行ったため、外回りが一気に綺麗になり、お客様に大変ご満足いただけました。
<詳しくはコチラ>
⇒ 大阪市平野区 屋根葺き替え【ルーガ雅へ】・外壁塗装工事
【3】瓦からスーパーガルテクトへの葺き替えで屋根を軽量化 大阪府守口市
- 工事概要:屋根葺き替え工事(スーパーガルテクト)
- 施工費用:総額116万円(税込)
- 施工面積:44㎡
- 屋根の形:切妻
- 工期 :7日間
大阪府守口市で、屋根の葺き替え工事を行いました。
「瓦屋根の一部破損部分から雨漏りがある」と、お問い合せいただきました。
お客様は「今後の耐震を重視したい」という考えだったため、軽量屋根の『スーパーガルテクト』を提案しました。
スーパーガルテクトとは、アイジー工業株式会社が販売している、国産の金属屋根材です。
スーパーガルテクトは、サビに強く、沿岸地域などでも優れた耐食性を発揮する超高耐久ガルバを採用しています。
また、スーパーガルテクトは大幅な軽量化も実現しており、スレート屋根の「約1/4」の重さ、和瓦の「約1/10」の重さしかありません。
スーパーガルテクトには、以下10のメリットがあります。
- 軽いので、家の構造への負担が少ない
- 耐久性が高い
- 断熱効果が高い
- 火に強い
- 風に強い
- 屋根内部に雨水が入り込みにくい
- 屋根材の裏側まで錆びにくい
- 遮熱性が高い
- 釘打ち部に雨水が入り込みにくい
- 供給が安定している
雨予報が多い週だったため、先に一部破損個所を補修し、工事までの雨漏りをしのいでいただき、工事に入りました。
また住宅がかなり隣接していたため、お隣さんにご迷惑をおかけしないように、人数を多く入れて数日で工事を終わらせました。
<詳しくはコチラ>
⇒ 守口市 屋根葺き替え工事【スーパーガルテクト】
まとめ
以上、「耐震」と「屋根」の関係性について、紹介しました。
もちろん今後、未曽有の大震災も起こりうるので、絶対に家が倒壊しないわけではありませんが、耐震のために屋根を軽量化することは有効です。
築年数の古い家などで、屋根が重たそうで不安な場合は、軽量な屋根材への葺き替え工事・およびその他の耐震工事を検討するとよいでしょう。